
トタン屋根から雨漏り発生!? 雨漏りの原因と修理について
「最近、トタン屋根から雨漏りが…」そんなお悩みを抱えていませんか?トタン屋根は金属屋根の中でも比較的安価で施工も簡単な一方、劣化しやすい特徴もあります。この記事では、トタン屋根が雨漏りする主な原因と、見逃しやすい劣化サイン、対策方法をプロの視点でわかりやすく解説します。 トタン屋根とは トタン屋根は、薄い鋼板に亜鉛をメッキした「トタン板」を加工して作られています。瓦よりも安く、また施工が簡単なことから、日本では戦後多くの家が屋根材に採用しました。 近年金属屋根としては、亜鉛にアルミニウムを混ぜてサビに強くしたガルバリウム鋼板に取って代わられてきていますが、安価なことから倉庫などではトタンが採用されることがまだ多くあります。 トタン屋根のメリット トタン屋根のメリットは、瓦と比較すると軽量であることです。そして最大のメリットはコストが安いことでしょう。トタンそのものも安価ですが、施工も簡単なため工期が短く抑えられ、建築コストを大きく削減できます。 トタン屋根のデメリット 一方トタン屋根は、金属でできているため熱伝導がよく、断熱性が低いことが大きなデメリットです。夏の直射日光を浴びると家の中に熱気がこもり、エアコンをフル稼働させてもなかなか室温が下がりません。また冬になると外の寒さが伝わって、室温が下がってしまいます。そしてトタンのメッキがはげてきた場合には、サビて穴が空くこともあるため注意が必要です。穴が空いてしまうぐらい劣化が進んだ場合には、トタンを貼り替える、上に新たに屋根を葺くなど大がかりな修復工事が必要になってしまうため、定期的に塗装するなどメンテナンスをする必要があるでしょう。 トタン屋根が雨漏りする主な原因とは? トタン屋根は軽くて施工がしやすく、コストも比較的安いため、住宅だけでなく倉庫や工場、古民家などでも多く使用されてきました。 しかし、長年風雨や紫外線にさらされることにより、トタン特有の劣化が進行しやすく、特にメンテナンスが行き届いていない場合は、雨漏りにつながるケースが少なくありません。 ここでは、トタン屋根で雨漏りが起きる主な原因について、詳しく解説していきます。これらの原因を把握しておくことで、早期発見・早期修理が可能となり、大規模な修繕を防ぐことにもつながります。 雨漏りの原因① 錆びや穴あきによるトタンの劣化 トタン屋根の最大の弱点とも言えるのが「錆び」です。トタンは亜鉛メッキ鋼板でできていますが、年数が経過するとメッキが剥がれ、鉄の部分が空気や雨水に触れることで赤錆が発生します。 この錆びは見た目だけの問題ではなく、徐々に板金を内部から腐食させていきます。そして錆びが進行すると、やがてトタンに小さな穴が開いてしまい、そこから雨水が侵入し、屋根裏や室内へと水が滴る雨漏りの原因となるのです。 特に注意が必要なのは、屋根勾配が緩やかな場合や、雨水の流れが悪い箇所。水たまりができやすい箇所は常に湿気にさらされるため、錆びの進行が加速します。また、落ち葉やゴミなどが堆積することで、さらに湿度が高まり、錆びの温床となります。 屋根の最上部である「棟(むね)」部分には、トタン屋根でも板金がかぶせてあります。この部分を棟板金と呼び、雨水の浸入を防ぐ重要な役割を果たしています。 しかし、経年劣化や風の影響、さらには取り付け時の施工不良などにより、釘が緩んだり板金自体が浮き上がったりすることがあります。こうした隙間から雨水が入り込み、屋根の内部構造を伝って室内に水が漏れてくるのです。 特に、台風や強風が多い地域では、棟板金が剥がれるトラブルが多発しています。一見問題ないように見えても、内部では腐食や浸水が進行していることもあるため、定期的な点検が欠かせません。 雨漏りの原因② 棟板金の剥がれ 板金とは、屋根の頂点にある、屋根の面と面のつなぎ目を覆っている部材のことです。この棟板金が経年劣化したり風であおられたりすると、棟板金がめくれあがってしまい、屋根の隙間から雨水が浸み込んでしまうことがあるのです。 トタン屋根は、耐用年数が10~15年程度と短いため、サビや棟板金の剥がれが起きやすいといえるでしょう。 雨漏りの原因③ トタンの浮き・めくれによる隙間発生 トタン屋根は軽量であるがゆえに、強風や積雪の重みなどにより、屋根材が浮いたりズレたりしやすいという特徴があります。特に、台風シーズンの後や大雪の後に屋根の一部がめくれ上がっている場合、その下から雨水が侵入し、直ちに雨漏りが発生することがあります。 また、屋根の固定金具や釘、ビスが緩んでいたり、錆びて外れてしまったりすることで、屋根材がしっかりと固定されておらず、風でめくれやすい状態になってしまいます。 一度屋根材がめくれたり剥がれたりすると、その箇所から雨水が浸透するだけでなく、下地の防水シートや野地板にまで水が染み込み、構造材の腐食やカビの発生など、深刻な被害につながる可能性があります。 雨漏りの原因④ 防水シートの劣化 トタン屋根の下には、通常「ルーフィング」と呼ばれる防水シートが施工されています。この防水層は、屋根材の下で雨水の侵入を最終的に食い止める役割を担っていますが、このシートも経年とともに劣化していきます。 長年使用されている屋根では、トタンが健在に見えても、内部の防水シートがボロボロになっていて、微細な雨水を止められず、じわじわと雨漏りにつながっているケースもあります。屋根から直接漏れが確認できないような「にじみ出るタイプ」の雨漏りの場合、防水シートの劣化が原因であることも多いです。 これらのトタン屋根の劣化原因を放置してしまうと、屋根内部の構造材や断熱材まで被害が広がり、修理費用が大幅に増加するだけでなく、建物の寿命自体を縮めてしまうことになりかねません。 雨漏りの兆候が見られたら、早急に専門業者に相談し、適切な点検と補修を受けることが大切です。 トタン屋根の雨漏り修理方法 トタン屋根で雨漏りが発生した場合、その進行具合や劣化の程度に応じて、適切な修理方法を選択することが重要です。修理方法にはいくつかの選択肢があり、部分的な補修から全面的な改修まで、状況に応じた対応が求められます。 この章では、実際に専門業者が行う代表的な修理方法について詳しく解説します。加えて、DIYでの対応がなぜおすすめできないのか、そのリスクについても後半でご紹介します。 部分補修・張り替えによる対応 雨漏りが発生している範囲が限定的であれば、劣化・損傷した箇所のみを補修する「部分補修」や「部分張り替え」で対処することが可能です。 たとえば、トタンにできた小さな穴や亀裂は、コーキング材や専用パテを使って塞ぐことができます。ただし、これらの材料はあくまで補助的なものであり、耐久性や防水性を長期的に維持するには、下地処理や適切なプライマー処理も必要となります。 また、トタンが部分的に錆びて穴が開いている場合には、その一枚だけを取り外して新しいトタン材に張り替えることもできます。瓦棒屋根などの構造では、1枚ごとの交換が比較的容易です。ただし、表面上は小さな不具合に見えても、内部の下地材(野地板や防水シート)まで傷んでいる場合があるため、専門的な診断が欠かせません。 棟板金の交換・固定し直し トタン屋根で見落としがちなのが、屋根の最上部に設置される「棟板金(むねばんきん)」です。この部材は、屋根材の継ぎ目を保護し、雨水の浸入を防ぐ役割を果たしていますが、台風や経年劣化により、固定している釘が浮いたり、板金自体が剥がれてしまうことがあります。 棟板金の不具合があると、そこから雨水が侵入し、棟下の木材(貫板)を腐らせてしまいます。再発防止のためには、単なる釘の打ち直しではなく、以下のような手順での修理が推奨されます。 劣化した板金と貫板を撤去 下地に樹脂製の耐久性に優れた貫板を新設 耐風性の高いステンレスビスでしっかり固定 板金をかぶせて防水処理を施す これにより、台風や突風などの強風による再剥離を防止し、長期的な耐久性を確保できます。 屋根塗装による防水強化 トタン屋根が全面的に錆びているが、まだ穴が開いていない段階であれば、「屋根塗装」という選択肢も有効です。塗装には美観の回復だけでなく、防水・防錆機能を高めるという重要な役割があります。 専門業者による塗装工事では、以下のような工程が行われます。 高圧洗浄:ホコリ、カビ、旧塗膜、浮き錆などを除去 ケレン作業:手作業または電動工具で浮き錆を丁寧に除去 下塗り(錆止め塗料):金属専用の防錆プライマーを施工 中塗り・上塗り:耐候性の高い塗料で2層に分けて仕上げ とくに遮熱塗料やフッ素系塗料を用いると、雨漏り対策だけでなく断熱効果も期待できます。ただし、すでに穴が空いていたり構造自体が弱っている場合は、塗装だけでは対応できません。その場合は他の工法を検討すべきです。 カバー工法(重ね張り) トタン屋根全体が広範囲に劣化しているものの、下地に大きな問題がない場合は、「カバー工法(重ね葺き)」が適しています。これは既存のトタン屋根の上に新しい屋根材(ガルバリウム鋼板など)を重ねて施工する方法です。 カバー工法のメリットは以下の通りです。 屋根の解体が不要なため、工期が短く費用も抑えられる ゴミやホコリの発生が少ないため、周囲への影響が軽減される 屋根が二重構造になることで、断熱・防音効果も向上する ただし、既存屋根が湿気を含んでいたり、野地板が腐食している場合には、施工できないこともあるため、事前調査が重要です。 葺き替え工事(全面改修) トタン屋根の寿命(一般的に20〜30年)が過ぎ、雨漏りやサビが屋根全体に広がっているような場合には、「葺き替え工事」が最も確実な修理方法です。 葺き替え工事の内容は以下の通りです。 既存のトタン屋根材と防水シートをすべて撤去 下地(野地板)を点検・必要に応じて新設 新しい屋根材を施工(トタンではなくガルバリウム鋼板等も選択可) この工事により、雨漏りの原因を根本から解消できるだけでなく、耐用年数も延ばせるため、長期的なコストパフォーマンスに優れています。 DIYによる雨漏り修理は危険!専門業者への相談が最善策 インターネットなどでは「防水テープで塞ぐ」「コーキング材で応急処置」などのDIY修理方法が紹介されることがありますが、以下の理由からおすすめできません。 高所作業による落下のリスクが高い 原因を正確に特定できないため、再発しやすい 適切な材料・手順を誤ると、雨漏りが悪化する場合もある 修理ミスにより、火災保険や瑕疵保証の対象外になる可能性もある 雨漏りは目に見える場所よりも広範囲に影響していることが多く、専門知識と技術がなければ根本的な解決は難しいものです。症状が軽いうちに専門業者に相談し、確実な点検と修理を行うことが、建物を長持ちさせるうえで最も大切です。 トタン屋根の雨漏りが自然災害である場合は火災保険が適用されるかもしれません トタン屋根で発生した雨漏りの直接の原因が台風などの自然災害である場合には火災保険が適用されることもあります。しかし長年の劣化やメンテナンス不足による劣化などが原因の場合は対象とはならないためご注意ください。 まとめ トタン屋根はメンテナンス次第で長持ちしますが、サビや釘の緩みなど小さな劣化が雨漏りの大きな原因になります。「おかしいな」と思ったら早めに点検・修理を行い、大切な住まいを守りましょう!
2025.05.16 更新