
瓦屋根からの雨漏り…その原因と今すぐできる修理方法を徹底解説!
瓦屋根のお家に住まわれているみなさん、瓦屋根は丈夫だからメンテナンスはしなくても大丈夫だと思っている人はいないでしょうか?! 屋根瓦は「耐久力が高い」というイメージが先行しており、他の屋根材とは異なりメンテナンスフリーだと思っている人が多いのではないでしょうか? 瓦屋根では、他にも漆喰や木材など、さまざまな副材が利用されているため、定期的なメンテナンスは欠かせない屋根材と言えるのです。 台風や地震などの自然災害が発生した場合には、人間の目では確認することができないような小さなズレが生じてしまい、それが原因で屋根に問題が出てしまう…ということも珍しくありません。一般の人では気づくことができない小さな不具合が生じてしまっている場合が多く、災害時には他の屋根には被害が出ていないのに、瓦屋根の住宅ばかり大きな被害が出てしまう…などと言うことも珍しくないのです。 本日は、瓦屋根で発生する雨漏りについて、どういった原因があるのかをいくつかご紹介していきます。 瓦の種類と特徴:雨漏りリスクを減らすために知っておきたい基礎知識 瓦屋根は日本の気候風土に適した優れた建材ですが、その性能は瓦の種類によって大きく異なります。 雨漏りを未然に防ぐためには、それぞれの瓦の特徴を正しく理解し、状況に合った選択をすることが重要です。以下では、代表的な瓦の種類とそのメリット・デメリットについて解説します。 粘土瓦(和瓦) 粘土を高温で焼き固めた伝統的な瓦で、昔ながらの日本家屋に多く見られます。風合いが美しく、耐久年数は50年〜100年ともいわれるほどの長寿命です。断熱性・遮音性にも優れていますが、非常に重く、建物にかかる負担が大きいため、耐震性の面で不利になることもあります。 釉薬瓦(ゆうやくがわら) 粘土瓦の表面に釉薬(うわぐすり)をかけて焼いた瓦で、ガラスのような光沢と美しさが特徴です。表面が滑らかで水はけがよく、苔や汚れが付きにくいため、メンテナンス性にも優れています。カラーバリエーションも豊富で、意匠性を重視する住宅にもよく用いられます。 セメント瓦 セメントと砂を混ぜて成型された瓦で、見た目は粘土瓦に似ていますが、塗装によって着色されているのが特徴です。価格が比較的安く、施工も容易なため、1970〜90年代の住宅で多く使われました。ただし、吸水性が高く、経年劣化による塗膜の剥がれが雨漏りの原因になることも。10〜15年ごとの塗装メンテナンスが必要です。 金属瓦(ガルバリウム瓦など) アルミと亜鉛の合金である「ガルバリウム鋼板」などを用いた金属瓦は、軽量で施工性が高く、耐震性にも優れています。耐久年数は20〜30年ほどですが、防錆加工がされていない製品ではサビによる劣化のリスクもあります。断熱・遮音性は他の瓦に劣るため、下地材による補完が重要です。 瓦の種類ごとに耐久性・メンテナンス性・コスト・見た目などが異なります。特に雨漏りの発生リスクを下げるには、屋根の勾配や建物構造、地域の気候(積雪・台風・日照など)に合わせて、適切な瓦を選ぶことが大切です。リフォームや修理の際は、信頼できる専門業者に相談することで、より安心な選択ができるでしょう。 瓦屋根から雨漏りする原因について 1.瓦屋根の破損、ズレ 経年劣化、地震、台風などが原因で、瓦が割れたり、ズレたりして雨漏りが発生します。 風に飛ばされてきた物が衝突する…冷害や塩害が原因で割れる…などと言った事もあるため、定期的な点検がオススメです。 2.漆喰の経年劣化による剥がれ 瓦屋根では隙間を埋める、屋根材の固定を目的として漆喰が使用されています。漆喰は施工後、年数がたつほど硬化していくという特徴があるのですが、10年を過ぎたあたりから徐々にひび割れが生じ始め、最終的にボロボロに崩れてしまうのす。隙間を埋める目的で施工されているものですので、この劣化を放置すると雨水の侵入を許し雨漏りが発生してしまう恐れがあります。漆喰は定期的に塗り替えが必要と覚えておきましょう。 ※漆喰工事のメニューはこちら 3.板金部分のサビ等の劣化 劣化により板金部分に穴が開き、雨漏りが発生してしまうことも考えられます。特に屋根と屋根がぶつかる谷部は劣化しやすいです。 定期的に劣化状況をチェックするようにしましょう。 4.棟瓦の歪み 瓦屋根では、棟部分に棟瓦が積まれています。棟は屋根が接合する部分の隙間を埋めることや屋根材の固定が目的となります。しかし屋根の頂上部分となるため、強風や揺れの影響を受けやすく、災害後に歪みが生じてしまう…なんてことがあるのです。こういった歪み部分から雨水が侵入する…なんてことがありますので、定期的に点検しましょう。 5.防水シートの劣化 瓦の防水シートが経年劣化により、穴が空いたり、縮んだりしてそこから雨水が侵入します。 防水シートの劣化状況は外から見ても分からないため、瓦を剥がしてチェックします。 劣化で破損している場合は、全体的な補修にすることをおすすめします。 瓦屋根補修の費用相場:修理の種類と目安金額、費用を抑えるコツまで解説 瓦屋根に雨漏りが発生した場合、被害の程度や修理内容によって必要な費用は大きく異なります。「部分的な補修で済むのか」「葺き替えや葺き直しが必要なのか」によっても工事規模や価格帯は変動します。ここでは、主な補修方法ごとの費用相場と、費用を抑えるためのポイントについて詳しく解説します。 【1】部分修理の費用相場と目安 瓦屋根においては、すべてを取り換えるのではなく、損傷している部分だけをピンポイントで修繕する「部分修理」で済むケースも少なくありません。以下は、代表的な補修内容とその費用の目安です。 瓦の差し替え(ひび割れ・ズレの補修) 1枚の瓦が割れていたりズレている場合、部分的な差し替えで対応可能です。費用は1〜5万円程度。高所作業となるため、足場の有無や安全対策によっても金額は上下します。 漆喰の補修 棟(むね)部分に使われている白い漆喰(しっくい)が劣化している場合、補修が必要です。軽微な補修であれば4〜10万円、棟全体の補修になると20〜30万円前後かかることもあります。 棟瓦の積み直し・交換 棟瓦がズレたり崩れかけている場合、積み直し工事が必要です。費用は10〜40万円ほど。地震や強風の後によく見られる修理です。 谷樋(たにとい)の修理・交換: 屋根の谷部分にある金属製の雨樋が劣化していると、雨漏りの原因になります。部分補修なら5万円前後、全交換では10〜20万円程度が相場です。 【2】全体修理(葺き替え・葺き直し)の費用相場 葺き替え工事(ふきかえ) 築年数が経っている場合、部分的な補修よりも葺き替えが適している場合があります。 葺き替えでは、屋根材の他にも防水シートや野地板も新たに施工します。 費用は一般的な住宅で70万〜250万円前後。使用する瓦の種類や足場の有無によって変動します。 葺き直し工事(ふきなおし) 既存の屋根材を一旦撤去し、その下にあるルーフィングと呼ばれる防水シートの交換と下地の修理を行った後に、元あった屋根材を設置する工事です。屋根材自体に問題がなく、下地や防水シートの劣化がある場合に行われることが多い工法です。葺き直し工事は既存の屋根材を再利用することができますので、新しい屋根材を購入することなく、また古い屋根材を撤去しないのでその分費用を抑えることができます。逆に、葺き替え工事は屋根材も新しくし撤去に費用が掛かりますので、少しでもコストを抑えたいなら葺き直し工事がおすすめといえます。 費用相場は120万〜250万円程度。使用する既存瓦の状態が良好であることが前提となります。 【雨漏り修理工事の事例】 施工事例はこちらから 【3】費用を抑えるための3つのポイント 修理の内容によっては高額になることもある瓦屋根の補修。以下のようなポイントを意識することで、適正価格での施工が可能になります。 ① 早めの点検・補修が最も効果的 雨漏りや瓦のズレを放置すると、被害が拡大し、結果的に高額な工事が必要になることも。定期的に屋根の点検を行い、小さな不具合を早めに対処することで、費用を最小限に抑えられます。 ② 複数の業者に見積もりを依頼 1社だけで決めずに、必ず2〜3社以上から見積もりを取って比較するようにしましょう。費用だけでなく、工事内容や保証の有無も重要な判断基準となります。 ③ 火災保険や共済制度の活用 台風・雪害・雹(ひょう)などの自然災害による屋根の損傷は、火災保険や共済で補償されることがあります。特に「瓦の飛散」や「棟の崩れ」などは対象になるケースも多いため、まずは保険内容を確認し、写真などで被害状況を記録しておくとスムーズです。 瓦屋根の補修には、建物の状態や修理方法によってさまざまな選択肢があります。費用面でも大きな差が出るため、信頼できる業者の診断を受けたうえで、適切な対応を取ることが長期的なコスト削減にもつながります。 瓦屋根に雨漏りが発生した際の応急処置方法:自宅でできる対策と注意点 瓦屋根からの雨漏りは、台風や経年劣化などによって突然発生することがあります。被害を最小限に抑えるためには、早急な応急処置が重要です。ここでは、自宅でできる応急処置の方法と注意点をご紹介します。 室内での応急処置 漏水箇所の特定と保護 天井からの雨漏りを発見したら、まず漏水箇所を特定し、床や家具が濡れないように保護します。バケツや洗面器を置き、新聞紙やビニールシートで周囲を覆うと効果的です。また、バケツの中に雑巾や吸水シートを入れることで、水はねを防ぐことができます。 雨水の誘導 天井からの水滴が広範囲に広がる場合、糸を天井に取り付けて水を一箇所に誘導し、バケツで受ける方法もあります。これにより、被害の拡大を防ぐことができます。 屋根裏での応急処置 屋根裏にアクセスできる場合、漏水箇所の真下にバケツを設置し、周囲を新聞紙やビニールシートで保護します。また、雨漏り箇所に糸を結んだ釘を刺し、糸の端をバケツに垂らすことで、水を効率的に受け止めることができます。 屋根上での応急処置 屋根に登る際は、以下の点に注意してください。 安全第一:ヘルメットや滑りにくい靴を着用し、必ず2人以上で作業を行いましょう。 天候の確認:雨天や風の強い日は作業を避け、晴れた日に行ってください。 ブルーシートの使用:雨漏り箇所を覆うようにブルーシートをかけ、土嚢や重しでしっかり固定します。シートは屋根の頂上から垂らすように設置し、雨水の流れを妨げないように注意してください。 防水テープの使用:瓦のひび割れやズレが原因の場合、防水テープで一時的に補修することも可能です。ただし、あくまで応急処置であり、専門業者による本格的な修理が必要です。 応急処置後の対応 応急処置は一時的な対策であり、根本的な解決にはなりません。雨漏りの原因を特定し、適切な修理を行うためには、専門業者への相談が不可欠です。また、火災保険が適用される場合もあるため、保険会社への連絡も検討してください。 雨漏り修理を自分で行うのえでの注意点 1. 屋根の上は非常に滑りやすい 雨の後や朝露が残っている屋根は、特に滑りやすい状態になります。 瓦はつるつるしていて足場が不安定なため、転落事故のリスクが非常に高いです。 2. 専門知識が必要 雨漏りの原因は「瓦のズレ」や「漆喰の劣化」など一見して分かりにくいことが多く、間違った場所を補修しても効果がないことがあります。 一時的に止まっても、根本原因を直さなければ再発します。 3. 誤った修理で被害が拡大するリスク シリコンや防水テープなどで無理やり塞ぐと、雨水の逃げ道がなくなって内部に水が回ることがあります。 結果として、構造材の腐食・カビ・シロアリ発生など深刻な二次被害につながることも。 まとめ 瓦屋根は丈夫なイメージがありますが、雨漏りが発生することも十分にあり得ます。原因を正しく見極め、適切に修理・メンテナンスすることが大切です。早めの対処で、大切な住まいを長持ちさせましょう!
2025.05.13 更新
















